研究

「目で見る」組織・細胞内の分子動態

生命現象は「生体物質」が互いに協調して働くことによって成り立っています。それら分子の役割や関係を調べる上で、ある分子が組織や細胞内の「何処に」存在するかという事は非常に重要な情報です。私たちの研究室では、抗生物質や抗癌剤などの薬剤や生体アミン類に対するモノクローナル抗体を自家調整して、これら分子の組織や細胞内での局在を「免疫組織化学」という方法で調べています。特に、「薬剤の免疫組織化学的検出法」は、私たちの研究室で開発した他に類を見ないユニークな研究方法です。


薬剤の生体内局在と毒性に関する研究

抗癌剤や抗生物質等の投与後の組織・細胞内局在を追跡することにより、薬剤の薬効や副作用の機構解明を行っている。その結果、薬剤の免疫組織化学とTUNEL法の二重染色により、抗癌剤が蓄積した細胞にapoptosisが起こることを明らかにした。この薬剤によるapoptosis誘導が、薬剤の副作用の機構の一つだと考えられる。


ダウノマイシン(DM)の電顕免疫組織化学毛根の死細胞に陽性反応(矢印)

DM陽性(緑色蛍光)とTUNEL陽性(赤色蛍光)が重なって黄色蛍光を示す細胞が認められる(矢印)


薬物動態とトランスポーターとの相関研究

薬物の取り込みや排出に関わる薬物トランスポーターに関する研究は、培養細胞や卵細胞を用いて行なわれており、生体内でトランスポーターが実際に薬剤を輸送しているかについては明らかでなかった。我々は薬剤の免疫組織化学により、トランスポーターが存在すると言われている部位にその基質となる薬剤の陽性反応を検出し、生体内での薬剤輸送にトランスポーターが実際に関与していることを明らかにした。


小腸でのアモキシシリンの吸収
PEPT1トランスポーターが存在する吸収上皮細胞の微絨毛(矢印)に陽性反応


胆汁中へのアモキシシリンの排出
Mrp2トランスポーターが存在する毛細胆管に沿って顆粒状の陽性反応(矢印)


生体アミン類の組織・細胞内局在と生理機能の解析

地球上の全ての細胞に存在しているポリアミン(PA)が、免疫電顕研究の結果、リボソーム上に存在し、タンパク質合成の翻訳過程に関わっていることを示した。また、核内にもPAが存在することを免疫組織化学的に初めて証明し、PAが核内の生化学反応に関係している可能性を示した。その他、胃酸分泌の促進、アレルギー反応の仲介、或いは神経伝達物質として重要な役割を担っているヒスタミン(HA)の、ラット胃粘膜enterochromaffin-like(ECL)cellsでの細胞内局在を明らかにした。


神経細胞の免疫電顕組織化学
リボソームや粗面小胞体に陽性反応(矢印)


培養細胞でのPA蛍光免疫組織化学
核(矢印)及び核小体(矢頭)に陽性反応

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